慰安婦?戦時売春婦?それにまつわる韓国の慰安婦少女像はどうなる?

長いのでざっくりいいますと、

2015年度末、日韓で合意した慰安婦合意については、

日本はやることの履行済み。韓国はほとんど進んでいない。

進んでいない理由は、合意について韓国側で国民の理解が進んでいないから。



という感じです。

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日韓問題において口に出しただけで双方から袋叩きになりそうな話題…。

それは"慰安婦"問題…。

管理人は日本人なので日本の肩を持ちたいです。

が、あえてどちらかの肩も持たずに、"慰安婦"問題について争われている2016年末の現状まとめてみたいと思います。


画像はイメージ

※なお、慰安婦について問題提起しているのは韓国・北朝鮮だけではなく中国(一部台湾も)なもあるのですが、話がややこしくなるのでとりあえず今回は韓国との間の争いに絞ります。


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まず、前提として、慰安婦問題に対する日本人の通常の立場としては、日本と韓国のそれぞれの政府が決めた条約・話し合い・協議などが全てのはずです。

それは両国は民主主義を採用しているからであり、国民の意志である選挙で選んだはずの人々で決められた政府同士が合意したことだからです。

それゆえ、それぞれの両国内の反対勢力から反目があろうと、最新の合意である2015年(平成27年)12月28日の日韓外相会談で結ばれた慰安婦問題日韓合意を守るのが筋、となるはずです。

慰安婦問題日韓合意
Wikipedia

日本も韓国も慰安婦問題日韓合意に基づき、『日本軍にまつわる従軍慰安婦問題を最終かつ不可逆的に決着させる合意』の履行の努力を行う必要性があります。

もし両国民の強い関心事である合意の履行が守られなければ日韓関係は文化・経済・外交など様々な分野致命的な決裂を生み、両国に住む日本籍・韓国籍(あるいは朝鮮籍)の間にも致命的な決裂は避けられないでしょう。

それくらいの合意なので、日本人としては現状を把握しておく必要があるのではないかと思います。

ところで、慰安婦合意に至る数ヶ月前に※ハフィントンポストの記事で日韓の歴史認識と慰安婦問題について木村幹・神戸大教授が両国の歴史的背景を踏まえざっくり説明しています。

記事の印象はあまり偏らず経済というか政治とお金の観点から説明されていて日韓関係の流れとしては分かりやすいと思います。

日韓が対立する歴史「認識」問題って何? 木村幹・神戸大教授に聞く - 2015年10月24日
慰安婦問題、日韓の歴史「認識」はなぜ対立する? 木村幹・神戸大教授に聞く - 2015年10月28日
ハフィントンポスト日本語版(元記事がヒットしないためgoogleのリンクはキャッシュ)

※ハフィントンポスト【アメリカ合衆国のリベラル系インターネット新聞です。日本語版ハフィントンポストは朝日新聞社が合弁会社ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンを設立して提携の上、初め編集長に元ライブドア出身の松浦茂樹氏を据えて、その後元朝日新聞記者の高橋浩祐氏が編集長を引き継いでいます。】

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さて、慰安婦問題日韓合意について上記のWikipediaを引用してそれぞれの政府の合意内容とその履行を簡単に書いておきます。


◇日本政府”日本国政府は韓国政府が設立する元慰安婦を支援するための財団(「和解・癒やし財団」)に10億円拠出することを約束し、2016年8月31日に履行した。” 

◇韓国政府”韓国政府は、ソウル特別市の在大韓民国日本国大使館前にある慰安婦像について「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と尹炳世外交部長が発言した。 
日本の岸田文雄外務大臣は会談後、記者団にソウル日本大使館前の慰安婦少女像の扱いについて「適切に移転がなされるものだと認識している」とし、慰安婦問題に「終止符を打った」と述べた。 
韓国政府は「可能な対応方向について関連団体との協議を行う等を通じて、適切に解決されるよう努力する」と述べたのみであり、少女像の移転は合意履行の前提ではない」としている。” 
※2016年12月22日時点で韓国の日本大使館前の慰安婦少女像は移転していません


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近年、韓国では2014年のセウォル号沈没事故の後始末や2016年の朴槿恵・崔順実事件などの影響で朴槿恵大統領の弾劾の話で国が揺れているのは記憶に新しいところです。

実際、慰安婦合意については2016年5月時点で日本と韓国それぞれの国民の合意への理解については隔たりがあります。

慰安婦合意、日韓で「評価」隔たり…共同調査 - 2016年05月12日
読売新聞

記事を報じた読売新聞によると、読売新聞社と韓国日報社での共同世論調査の結果、

日韓合意について
日本 「評価する」49%・「評価しない」38%
韓国 「評価する」21%・「評価しない」73%

◆慰安婦問題を「決着させるべきだ」
日本  74%
韓国  23%

◆ソウルの日本大使館前の慰安婦を象徴する少女像の撤去
日本 「撤去すべきだ」62%
韓国 「撤去する必要はない」87%

とのことです。

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さて、慰安婦問題は日本と主に東アジア圏の問題で済むのでしょうか

そんなことはありません。

韓国では民間団体や市町村が

『慰安婦について日本への非難』

について世界に拡大を目指しています。

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韓国の水原市欧州初慰安婦像設置を目指して、姉妹都市であるドイツ・フライブルク市に対し、国連世界人権宣言の記念日に当たる2016年12月10日に、市中心部に像を共同設置し、記念式典を行う予定でした。

これに関してはフライブルク市の姉妹都市である愛媛県松山市から

「像が設置されれば交流に支障が出る

懸念があり、フライブルク市は両国の影響を鑑みてか、像の設置を撤回しました。

なでしこアクションの翻訳によればフライブルク市の市長は地元ドイツBadische Zeitung (バーディシュ新聞)のインタビューに以下のように回答しています。 
「私は単にパートナーシップに際してSuwon(水原)市からのプレゼントと理解しておりました。しかし、それはより複雑でした。 
Suwon市長は市民主導の寄付により調達された資金でこの彫像を賄ない、そしてその意義は, この彫像を世界中に設置日本に外交的圧力を加えることにありました。私がこれを知った時、私は悪用されたと感じました。 
私は、韓国と日本の間の紛争での一つのツールでした。これは姉妹都市提携の目的では無く、この件で敏感になっている同じ提携都市を日本に持っている以上は、特にです。」
ちなみに記事を読むと、フライブルク市の市長さんは、

任期中は穏便に済むはずだったのに…めんどくせぇ。巻き込むなよ…。』
糞にくるぶしまで浸かってるカンジ?(原文ではそう言っているらしい)

と面倒!という感じがプンプンです。

フライブルク市長 ドイツ紙インタビュー「私がこれを知った時、私は悪用されたと感じました。」 - 2016/10/12
なでしこアクション

独フライブルク市への慰安婦像設置断念 韓国水原市が発表 日本側が「圧力」と批判 - 2016.9.21
産経ニュース


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ところで、慰安婦とは海外ではどのように訳されているのでしょうか

事情を知らない日本人はせいぜい

『戦時中だし、売春を強制された女性がいた』

くらいの認識かもしれませんが、海外ではそのように理解されていないようです。

下記のサイトで英語・ドイツ語版Wikipedia慰安婦の項目について日本語に翻訳しています。

英語圏での慰安婦認識について
千早城 - 2013/5/20

例えばドイツ版Wikipediaでは慰安婦は、

遠回しな言い方でTrost(慰安)+Frauen(婦人)=Trostfrauen(慰安婦人)

あるいは直接的な言い方で"Zwangs・・・"「強制・・・」+"prostituiert"「売春婦」="zwangsprostituiert"(強制売春婦(性奴隷))

と訳されているようです。

また、記事の中で、ドイツ語版では「慰安婦」は性奴隷(強制された売春婦)の隠語であり、「慰安婦」=「性奴隷」(強制された売春婦)と認識されているようだとしています。

また、Wikipediaでの記載の問題として、

A: 日本側としては「慰安婦」強制された売春婦の事を言うのではなく強制でない風俗業の女性を指す言葉であるのにドイツ語版では「慰安婦」「強制された売春婦」と記載されていること。

そして、日本側の「慰安婦」についての詳細な調査の後、出した結論は
(国に)強制されたとする資料は見つからなかった
「慰安婦(高給の戦時売春婦)の資料は存在する」
ので
慰安婦
は「いました」と認めている。

B:韓国側は、「慰安婦」には
強制された売春婦も含まれる(、と本人たちが言ってるし…という理由で)」
日本が慰安婦がいた認めている」。

A+B=C: 「強制された売春婦(性奴隷)の資料が存在する」。

となっているのが問題だともしています。


実際そのような誤解のせいもあるのでしょう。

海外の日本人子弟現地でそれをネタコリアンに学校でいじめられるとも聞きます。

日本としては昨今の人権フェミが席巻する国際社会において解決のハードルは高いと思いますが、後の子どもたちのためにもなんとかするしかありません。

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しかし一方、韓国に話題を戻すとなぜか韓国も揺れているようです。

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朴裕河(パク・ユハ)世宗(セジョン)大教授(59)が著作『帝国の慰安婦』で、

旧日本軍慰安婦日本軍と同志的関係であり、日本帝国による強制連行はなかった

としたことについて旧日本軍慰安婦被害者の名誉を傷つけたとして起訴(!)されました。

中央日報の記事によると、
朴教授側の弁護人は、
「被告人は慰安婦売春の形態で運営されたと述べたものであり、本質が売春言ったことはない」 
とし、 
強制性の部分は広い意味で構造的強制性を繰り返し記述し、性奴隷として残酷な生活を送ったという事実もやはり強調している」 
と説明し、検察に懲役3年を求刑された朴教授は、 
実刑が求刑されて当惑している。」 
「無罪宣告を通じて韓国に合理性と正義が具現されるよう願う。」
と述べているそうです。

また、中央日報の他の関連する記事で、
朴教授が起訴されたことについて、日本の慰安婦問題解決のために作られた「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の理事をつとめた日本国内の知韓派知識人韓国で呼ばれる日本の大沼保昭・明治大学教授は、 
「過去20年間、韓国内慰安婦問題に対する世論があまりにも強くなったようだ」 
「韓国が慰安婦問題について閉鎖的な社会になり、少数意見を受け入れないおかしな社会になった」 
民主主義国家において行き過ぎたことではないかと思う」
と懸念を示した
と報じています。

本件に関しては韓国の知識人の中からも

起訴によって研究と発言の自由が制限される恐れがある」

などと反発がでているそうです。

韓国裁判所、『帝国の慰安婦』著者に「被害者に9000万ウォン損害賠償」判決 - 2016年01月14日
【論争】『帝国の慰安婦』著者起訴…歴史で名誉毀損を問うてはいけない(1) - 2015年12月16日
韓国検察、「慰安婦名誉毀損」朴裕河教授に懲役3年求刑 - 2016年12月21日
『帝国の慰安婦』の朴裕河教授「被害女性を『売春婦扱い』したことない」(1) - 2015年12月03日
日本の大沼教授「韓国、慰安婦問題の少数意見受け入れないおかしな社会に」(1) 2015年12月02日
中央日報



その語、慰安婦像の移転については最近の北朝鮮問題韓国の経済状態についての懸念からか、韓国有力紙東亞日報韓国版のコラムの中で「少女像移転」について、

「北朝鮮を庇護する中国に対抗して、日韓の軍事協力の強化が必要。日韓間の北朝鮮の核(問題)協力のために少女像の議論はおいといて情報協定締結が必要である 。」 
「(そして)慰安婦合意文の少女像フレーズ『適切に解決されるように努力する』 、(これを)否定することは、両国の信頼を損なう。」 
慰安婦問題で影響力が大きい韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)などは、韓日の合意認めていない。」 
「(そしてこの状況では) 「慰安婦和解・治癒財団」の発足式でキム・テヒョン理事長などにカプサイシン(唐辛子入り?)催涙液が振りかけられる雰囲気の中で親日売国奴」と非難される覚悟をしなければ、日本大使館の前にある少女像を別の場所に移すという意見を言うのは難しい。」 
しかし、(そんな雰囲気の中)声が上げられない国民の中には国家存亡の危機(なの)に少女像のため日韓関係がきつく締め付けられてはならない心配している人が多い。 」

と言及しています。

朴教授が訴追された韓国の現状から考えると、韓国国内の意見として勇気ある意見だと思います。

なお、この東亞日報の記事については産経ニュースでも報じられています。

[황호택 칼럼]북핵 위기와 ‘소녀상 이전’  ([ファンホテク コラム】北朝鮮の核危機と「少女像前」)  - 2016-09-14
東亞日報(韓国版)
Google翻訳で訳した日本語版はこちら

「慰安婦像、移転を」韓国紙が“異例”の主張 経済低迷や北朝鮮の脅威が背景 - 2016.9.16
産経ニュース

また、聯合ニュースでは
ユン・ドクミン国立外交委員長は30日、朴槿恵大統領の任期満了前の辞任に言及にしたことに関連して、「韓日間慰安婦問題合意軍事秘密情報の保護協定(GSOMIA)の締結は、政権が変わるといっても簡単に破棄することができない。」と述べた。
と報じています。

さらにそれについて、 エキサイトニュースがRecord China経由で報じています。

윤덕민 외교원장 "위안부 합의, 정권 바뀌어도 파기할 수 없다"  (ユン・ドクミン外交院長 "慰安婦合意、政権変わっても破棄することができない ")  - 2016/11/30
聯合ニュース(韓国版)
Google翻訳で訳した日本語版はこちら

韓国高官「慰安婦合意、政権が代わっても破棄できない」=韓国ネット「当然合意は無効になる」「安倍首相の心からの謝罪が必要」
エキサイトニュース 2016/12/1

また慰安婦になった方々について関連するニュースとして中央日報では、

慰安婦合意当時生存していた被害者46人のうち34人(約74%)現金受領の意思表明。 
また、残りの施設居住被害者と海外在住の被害者など計12人に見舞金受領の意思を持続的に打診しているものの、合意自体に反発見舞金受領を拒否。 
さらに財団は来年から合意当時死亡状態だった被害者199人現金2,000万ウォンを支給する事業も進行する計画だ
と報じています。

위안부 생존 피해자 34명 현금 수령 의사 표명  (慰安婦生存被害者34人の現金受領の意思表明) - 2016.12.23
中央日報(韓国版)
Google翻訳で訳した日本語版はこちら

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慰安婦に関してはあの時代背景としては大方高給の戦時売春婦として問題がなくても、当時の情報について日本側としての正しい情報が国際的に認知されているとは言い難い現状の中では、国際的な釈明を言うのも雰囲気的に難しい部分があります。

それでも他人に説得し納得してもらい、そして和解するには、まずは日本人として個人レベルからだとしても前提・現状・歴史認識など様々な観点を確認して自分なりの意見をまとめるべきではないかと思います。

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